ID-009 粘度−温度 線図の活用について |
一つの機械の潤滑油を選択するにあたり、配慮すべき必要な項目として、その機械の特性にあった油種の選択と適正な粘度、さらには使用される温度条件の配慮などが上げられます。機械メーカーが推奨する動粘度を基に、最も寒い時の始動可能温度や、もし閉鎖された部屋で運転される場合にはその最高温度、さらには万一トラブルで潤滑油の温度が上昇した場合の安全マージンの取り方、など幾つか考えられます。 これらを配慮するにあたり、必要なのが使用しようとする潤滑油の粘度温度特性であり、「粘度−温度 線図」です。 「粘度−温度 線図」は通常ASTMの定めた表が使用されます。(図1参照) |
この表は縦軸に「動粘度」を《対数の対数》で目盛り、横軸は「温度」を《対数》で目盛ってあります。石油製品は多くの炭化水素の混合物であり、未だ理論的には完全に検証されてはいませんが、次に示す“Waltherの実験式”が一般的です。 |
log log(ν+k)=n−mlogT | ||
ここで、 |
ν;動粘度(mm2/s) T;絶対温度(K) |
k,n,m,;油の固有定数 |
なお、鉱油系の潤滑油類は流動点近くになるとワックスが析出し始めるため、直線とはならず、急速に立ち上がるようになります。 さて、この表に必要な動粘度−温度条件を記入したものが図2です。 |
機械を運転する条件と使用場所の温度条件が決まれば、使用する潤滑油の粘度温度特性(粘度指数)を決めることができます。(この逆も同様) 機械の始動時に負荷が大きければ、モーターを必要以上に大出力したり、ブレーカーが落ち易くなったりします。逆に環境を少しかえて温度の低下を防げば始動電力の低減につながります。 さらに、高温側でも機械の保全を図るためにオイルクーラーの設置など、その対応を考えることが容易になります。 |