ID-301 油圧作動油の選定基準
 
 油圧システムにおいて最適な作動油を選定するためには、まず作動油メ−カから提示されている一般性状の各項目をチェックします。この中で油圧作動油選定の最も重要な項目は粘度です。油圧ポンプが十分に作動油を吸入することができるか、吐出することができるかについては作動油の粘度に関わるからです。
 
 粘度が高過ぎれば吸入抵抗が大きくキャビテ−ションによる気泡をを発生して、設計された通りの吐出量は得られません。極端な場合は騒音を発生したり、ポンプ破損の原因となります。粘度が低くなればポンプ内部で高圧部から低圧部への洩れが生じて吐出量は低下します。
 
 油圧ポンプの粘度による吐出性能は概略次のような傾向を示します。
 

 
図1 ポンプ吐出量と粘度の関係
 
 油圧作動油の選定はシステムがさらされる温度範囲において、ポンプメ−カが推奨する粘度範囲に当てはまるものを使用します。
 
 油圧システムはスタ−ト時から使用中にかけて温度の変化が大きいから、油圧作動油の温度による粘度の変化程度も把握しておくこと、すなわち粘度指数の大きさも重要です。
 
 油圧作動油は長期間にわたって使用されるから、一般性状で示された性能は安定したものでなければなりません。
 
 市販の各油圧作動油の性能は極めて高い信頼性を持っていますが、特殊な機能については機器メ−カが適合性判断の試験を行うこともあります。
 
 最近の油圧ポンプでは最高使用圧力が極めて高い機種があって発揮する圧力は200M P a(メガパスカル)とか300M P a(メガパスカル)などの例がそれほど珍しいものではありません。
 
 作動油の潤滑性能を判断するために油圧ポンプのメ−カが油圧作動油の各銘柄について長時間の耐久試験を行うことも行われていますから、推奨油を使用するのも良いでしょう。
 
 

 
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