ID-322 潤滑油の簡易測定器について
潤滑油の劣化を現場で迅速に分析、判定するために潤滑油メーカー各社より簡易テストキットが開発されております。 これは、コンパクトなケースにセットされ、重量5〜6kg程度で持ち運びができ、粘度・全酸価・水分・汚染度・色等の劣化判定項目について現場で短時間に簡便に測定できるようになっており、潤滑油の傾向管理に役立っています。 | |
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以下に、具体例を交えながら各測定項目について説明いたします。 | |
粘度判定‥・粘度は潤滑油にとって重要な基本性状で、油の流動性を示す尺度です。表示方式には測定方法によりいくつかの種類があります。潤滑油の場合には、JISに採用されている動粘度(単位:mm2/s)が広く使われております。このキットでの測定は実油温を測定し図表より求めることができます。
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全酸価…潤滑油中の酸性成分を示す値を全酸価といい、使用油では、一般に油が劣化していくにしたがい全酸価が上昇していきます。このキットでは酸価判定に試薬を用い潤滑油の酸化劣化の度合いが簡単に判定できるようになっています。 | ![]() |
水分測定…水分は特殊用途油を除き一般的には0.1%以下に抑えるのが望ましいと言われております。水分は油の酸化を促進したり、金属腐食のもととなります。測定方法は指示薬と試料油中の水分を反応させ発生するガス圧力を測定し、水分量に換算します。 | ![]() |
汚染度の測定…この測定セットは一般の油圧装置に使用された油圧作動油をろ過したときのフィルターの外観によって判定するもので、現場での大まかな汚染度を測定するのに適しています。 | ![]() |
色‥・潤滑油の色は使用していくうちに熱や酸化劣化により色が濃くなっていきます。また燃焼生成物や潤滑性能に悪影響をおよぼす摩耗粉や、ゴミ、ほこり、繊維質など非油溶性物質が混入しているケースがあります。このテストは主として潤滑油類に適用され、試料の透過色と一連の標準色(ユニオン色またはASTM色)とを比較し測定します。 | ![]() |
以上、工業用の簡易テストキットについて述べましたが、この他にも船舶用など特殊な用途向けに開発されたものもあります。現場で潤滑油を取り扱われる皆さんには、潤滑油メーカー等が行う高度な分析データと、簡易テストキットで得られたデータをうまく組み合わせ、潤滑管理を効率良く行われることをおすすめします。 | |
参考文献 (1)日石商事株式会社 日石カセットテスターカタログ |