ID-303 油圧作動油の交換基準
 
 油圧作動油はそのメ−カから示された一般性状によって選定され、使用されます。
 しかし、その性状は使用時間の経過によって変化して行きます。一般性状の項目には次のようなものがあります。
 
 油圧作動油の一般性状
密 度(15℃)
粘 度(mm2/s)
粘度指数
全酸価(mg KOH/g)
(ASTM)
引火点(COC ℃)
微量水分(ppm)
銅板腐食
 
 この中で交換基準として特に重要視されるのが粘度変化と全酸価値の変化です。
 粘度は新油と比較して±10%、全酸価の値は新油の値から 0.3上昇した時点とされます。
 粘度の変化はポンプの正常な吐出に悪影響があり、また全酸価の上昇は作動油中の異物発生を促進したり、機器、配管内壁のさび発生を進行させるためです。
 
 油圧システムの運転時間が経過するにしたがい油圧作動油中には侵入してくる塵埃や、さびや摩耗紛が発生してきます。
 
 代表的な油圧機器メ−カの例では油圧システムの使用圧力や精密度などによって、表1のように油圧作動油の清浄度管理基準を定めています。
 
 汚れがが基準値を越えてしまった場合には積極的に浄化を行うか、作動油の全量交換を行います。

表1 油圧作動油の清浄度管理基準
油圧システムの種類 推奨作動油清浄度
精密油圧システム
航空機油圧システム
ISO 13/9
NAS 4級
電気・油圧サーボシステム
精密工作機械
ISO 15/11
NAS 6級
高品質産業機械
工作機械・重工業機械
ISO 16/11
NAS 7級
中圧システム ISO 18/14
NAS 9級
低圧システム
短寿命システム
ISO 19/15
NAS 10級
隙間の大きな低圧のシステム ISO 21/17
NAS 12級
 
 

 
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