ID-305 油圧作動油の再生方法について
油圧作動油の当初に持っていた性状が変化したり、劣化物や塵埃によって汚染されると油圧システムを構成している各種の機器に悪影響を及ぼします。それは程度の差はありますが次のようなものです。
- 機器の破壊、損傷
- 機器の寿命短縮
- 機器の作動不良や誤動作
油圧作動油は外部漏れがあり、しばしば新油を補給するケ-スが多いですが、それでも劣化や汚染が生じたり、あるいはそれらが重なり新油時点の性状が次第に変化します。
- 油圧作動油基油の酸化変質、熱劣化
- 添加剤の消耗と変質
- 侵入異物による汚染
このようなことから定期的に油圧作動油の性状や汚染度をチェックして、継続使用の可否を判断することが必要です。その程度は油圧システムの使用圧力や運転精度などの仕様によって異なりますが、一般的には次の例があげられます。
比重変化(15/4℃) |
±0.05 |
引火点 (C O C) |
±30℃ |
粘 度 |
± 10% |
色 (ASTM) |
2 |
全酸価 (mg KOH/g) |
0.5 |
水 分 (Vol %) |
0.1 |
不溶解分(W%) |
0.1 |
汚染度 (NAS 1638) |
12級 |
〃 (重量法) |
10mg/100ml |
使用不能と判断された油圧作動油は次の順にしたがって再生をされます。
- 一次検査として性状と汚染度を分析し、処理方法を決定します。
- 静置沈殿槽で大きな汚染粒子、水分、スラッジを分離します。
- 酸化劣化、熱劣化の程度にしたがって蒸留、酸・アルカリ洗浄を行います。
- 白土処理、触媒処理をした後に性状の二次検査としての分析を行います。
- 性状確認後に、消耗している添加剤を配合します。
- 精密フィルタでろ過後に最終検査の分析を行います。
このようなことから,再生を行う油圧作動油には異種の軽質油や燃料油、その他の廃棄物
と混合することなく保管しておく必要があります。
(以 上)
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