ID-338 油圧作動油の消泡性について
 
 油圧作動油が泡立つ現象には二つの状態が見られます。図1に示すように、その一つは泡沫、他は分散気泡です。
 

 
図1 作動油タンク

 
 泡沫(フォ−ム・Foam)に対しては石油製品あわ立ち試験方法・JIS K 2518があってフォ−ムの発生・消滅の程度を試験します。
 
 分散気泡(バブル・Bubble)が油中から浮遊し消滅する早さを評価するには、DIN51381及びASTM−D−3427−75があります。国内では各作動油メ−カがそれぞれ撹拌法による油中気泡試験方法を確立し、これによって評価をしています。
 
 泡沫や分散気泡は油圧システムに、次のようなトラブルを発生させます。
(1) 油切れによる潤滑不良
(2) 軸受けの損傷
(3) システム騒音の増大
(4) 作動油の劣化促進
(5) ポンプ吐出効率の低下
(6) 圧縮性の増大
(7) 作動油の溢れ出し
 
 特に(6)の圧縮性増大は高性能を謳った油圧システムでは、その応答性に障害が出て、機能にとって致命的です。
 
 作動油は圧縮性をほとんど持っていないのに対して、分散気泡が発生すると、動作の指令に対して分散気泡が潰れるまでの間は作動器(油圧シリンダ)に動きの遅れが出てしまうのです。
 
 泡沫はシリコ−ン油や高級アルコ−ルを添加剤として用いて破泡効果(泡を潰す)がありますが、分散気泡への効果は期待できません。
 
 近年では旋回流を応用した気泡除去ユニットの効果が認識されつつあり、油圧システムへの応用が始まっています。
 
 

 
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