ID-L109A さび止め油の選定について |
さび止め油剤の選定、使用、管理方法は以下の情報を熟知した上で行なう必要があります。 |
(1) | 対象金属の種類、形状、保管期間、防錆の要求度合等の環境因子 |
(2) | 適用前後の工程で使用される加工油剤の種類と性質、混入程度等の工程因子 |
(3) |
さび止め油剤の種類と性能等の知識、情報 |
ここではさび止め油剤の選定方法について述べることとします。 選定において考慮すべき基本的な事項は以下のとおりです。 |
1. | 製品表面の性質 精密仕上げの場合は脱脂性の良好な潤滑油形さび止め油、溶剤希釈形さび止め油が適当です。粗雑な仕上げの場合はさび止め期間のみを対象として選定すればよいといえます。 |
2. | 製品の構造 複雑な構造のものは均一塗布できる潤滑油形さび止め油、溶剤希釈形さび止め油が適当です。 |
3. | 皮膜除去の難易 さび止め性能と皮膜除去は表裏関係にあり、除去性の良いものはさび止め性の低下は避けられません。皮膜除去性は選定の重要な要素ですが、あくまでもさび止め性能を第一義に選定すべきです。 |
4. | 暴露条件 製品により、塗布後遭遇する雰囲気条件は千差万別であり、選定するさび止め油も当然変わってきます。塗布製品の暴露される雰囲気、例えば湿度、温度範囲、腐蝕性ガスの有無、包装その他保護措置の種類によって、必要なさび止め油を選定する必要があります。 |
5. | 前工程油の影響 前工程で水溶性加工油が使用されている場合は水置換性の良いP-3タイプのさび止め油が適当です。 |
6. | 工程別による選定
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上記のように万全を期して選定したつもりでもトラブルが発生することがあります。防錆油は「実績が重要」と云われる所以です。表1に工程別によるさび止め油選定例を、表2にさび止め油の選定基準を示しました。 |
対象物 | 要求性能 | 選定防錆油 | |
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鋼 鈑 防 錆 |
圧延―焼鈍間の防錆 | 短期防錆、水置換性、無灰分、耐シミ性 | NP−9または溶剤希釈形防錆油 |
調質後の最終防錆 | 長期防錆、梱包スタック防錆(6〜12ヶ月)水置換性、耐シミ性、脱脂性 | 潤滑油形防錆油 | |
酸洗鋼鈑 | 短期防錆、スタック防錆(3ヶ月程度)、酸中和性、脱脂性 | P9形潤滑防錆油 | |
亜鉛メッキ鋼鈑 | 長期防錆、プレス潤滑性、変色防止、脱脂性、白さび防止性 | P9形潤滑防錆油 | |
ベ ア リ ン グ |
熱処理前防錆 | 短期防錆、無灰分、防錆期間7〜14日 | 溶剤希釈形防錆油 |
切研削後の洗浄防錆 | 水分離性、水置換性、耐シミ性、防錆期間7〜14日 | 溶剤希釈形防錆油 | |
超仕上げ後の洗浄防錆 | 短期防錆、硫黄焼防止作用、酸中和性 | 溶剤希釈形防錆油 | |
切研削後の中間防錆 | 中期防錆、水分離性、水置換性、耐シミ性、3ヶ月程度の防錆期間 | 溶剤希釈形防錆油 | |
最終防錆 | 長期防錆(6ヶ月以上)、酸化安定性、グリースとの相性、耐シミ性 | 溶剤希釈形防錆油またはNP−6形 | |
一 般 用 |
伸線材 | 塗布後梱包出荷、水置換性、耐水・耐湿潤性、無灰分、潤滑性 | 溶剤希釈形防錆油 |
棒鋼・パイプ | 塩素イオン補足能、水置換性、水分離性、耐湿潤性、耐シミ性 | 溶剤希釈形防錆油 | |
形鋼 | 防錆(1〜3ヶ月)、耐湿潤性、アルカリ脱脂性、低COD | 潤滑形防錆油または水溶性防錆油 |
NP-0 | NP-1 | NP-2 | NP-3 | NP-6 | NP-9 | NP-10 | NP-19 | |||
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さ び 止 め 期 間 |
屋内 | 2年 | ○ | |||||||
1年 | ○ | ○ | ○ | |||||||
6ヶ月 | ○ | ○ | ||||||||
3ヶ月 | ○ | ○ | ||||||||
屋外 | 1年 | ○ | ||||||||
6ヶ月 | ○ | |||||||||
3ヶ月 | ||||||||||
水置換性 | ○ | |||||||||
指紋除去性 | ○ | |||||||||
作業性& 除去性 |
難 | ○ | ○ | ○ | ||||||
易 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
塗膜の状態 | 乾燥膜 | ○ | ○ | |||||||
不乾燥 | ○ | ○ | ||||||||
グリース状 | ○ | |||||||||
油状 | ○ | ○ | ○ | |||||||
透明性 | 不透明 | ○ | ○ | ○ | ||||||
半透明 | ○ | ○ | ||||||||
透明 | ○ | ○ | ○ | |||||||
引火点 | 難 | ○ | ○ | ○ | ||||||
易 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |