ID-L073 水溶性切削油剤の種類と要求性能 |
1.水溶性切削油剤の種類 水溶性切削油剤は油剤を水に溶かして使用するもので、水の冷却作用を加工時の冷却に活用しようとするものです。水溶性切削油剤はJISによる分類(JIS K 2241)では、水に溶かした時の外観でエマルションタイプ(牛乳状の白濁した不透明の液体)とソリュブルタイプ(水のように透明もしくは半透明な液体)の2つに大きく分けています。 また、JISには規定されていませんが、水に溶かした時の外観が完全に透明なソリューションタイプもあります。 水に溶かした時の外観の違いは、水中に乳化または分散している油剤成分の粒子の大きさが異なるためです。 一般に、この溶かした時の外観がエマルションのものは潤滑性(加工性)が良く、透明なものは冷却性や洗浄性が良好です。 したがって、主にエマルションタイプは切削加工に、ソリュブルタイプやソリューションタイプは研削加工に使用されます。 |
水溶性切削油剤の種類 | 水に溶解した状態 | 主な用途 |
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エマルションタイプ | 牛乳状の白濁した不透明の液体 | 切削加工 |
ソリュブルタイプ (ソリューションタイプ) |
透明もしくは半透明な液体 | 研削加工 |
2.水溶性切削油剤の要求性能 水溶性切削油剤に要求される性能は、加工に関わる一次性能と作業性・保守管理などに関わる二次性能とに大別されます。 |
要求性能 | 項 目 |
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一次性能 | 潤滑性、抗溶着性、冷却性など |
二次性能 | さび止め性、安定性、消泡性、耐腐敗性、作業性など |
水溶性切削油剤に要求される性能はこのように種々ありますが、加工方法、被削材、作業環境などにより要求性能を定めることができます。 そして、この要求性能に合った水溶性切削油剤を選択することが、加工作業を順調に行い、現場トラブルを未然に防ぐコツです。 |