ID-L079 水溶性切削油剤のCODについて |
1.水溶性切削油剤の廃液処理性 水溶性切削油剤は、表1に示すように組成成分のほとんどが有機化合物で構成されており、水に溶解しやすい界面活性剤やアミンを多く含むタイプは概して廃液処理性が悪いことが認められます。 |
成分\種類 | エマルジョン | ソリュブル | セミケミカル |
---|---|---|---|
鉱物油 | 50〜80% | 0〜30% | −% |
脂肪油・脂肪酸 | 0〜30 | 5〜30 | − |
極圧添加剤 | 0〜30 | 0〜20 | − |
界面活性剤 | 15〜35 | 5〜20 | 0〜5 |
アミン、無機アルカリ | 0〜5 | 10〜40 | 10〜40 |
有機インヒビター | 0〜5 | 5〜10 | 0〜20 |
無機インヒビター | − | 0〜10 | 0〜20 |
防腐剤 | 2以下 | ← | ← |
非鉄金属防食剤 | 1以下 | ← | ← |
消泡剤 | 1以下 | ← | ← |
水 | 0〜10 | 5〜40 | 20〜50 |
例えば、水溶性切削油剤の種類にはエマルション、ソリュブル、セミケミカル等があり、これらを凝集処理した時の処理液性状を表2に示します。 |
項目\種類 | エマルジョン | ソリュブル | セミケミカル | |
---|---|---|---|---|
廃液性状 | 希釈倍率(倍) | 20 | 40 | 50 |
外観 | 乳白色不透明 | 淡黄色透明 | 無色透明 | |
pH | 9.2 | 8.8 | 10 | |
COD(mgO/L) | 15000 | 2900 | 5400 | |
処理液性状 | 透視度(cm) | 30< | 30< | 30< |
pH | 8.0 | 8.0 | 8.0 | |
COD(mgO/L) | 870 | 1400 | 2700 |
水質汚濁防止規制値に上げられているCOD(Chemical Oxygen Demand、化学的酸素要求量)は、油剤の処理性を判断する重要な項目ですが、表2に示したようにエマルションタイプに比べソリュブル、セミケミカルタイプはCODが高くなります。すなわち油剤のタイプによって適切な処理方法、条件を選択し廃液を処理する必要があります。 2.水溶性切削油剤の廃液処理方法 水溶性切削油剤の一般的な廃液処理方法を図1に示します。硫酸等を添加してエマルションを破壊し、続く凝集処理を行うことによりCODが排水基準を満たすことができれば良いのですが、たいていの場合、水に溶解しやすい界面活性剤やアミンは処理ができません。そこで、活性汚泥等の生物処理を行ってやる必要があります。生物処理でも十分にCODが低下しない場合は、更に活性炭で吸着処理を行うなどの方法をとる場合もあります。 |
このように、油剤の種類、廃液の量、濃度等を十分考慮して処理方法、条件を決めることが必要です。 |
「参考文献」 機械技術 第39巻 第1号 p1 (1991年) |