ID-L093 切削油剤の内容成分と被削材に与える影響 1.切削油剤の内容成分 切削油剤には不水溶性と水溶性がありますがその内容成分例を表1に示します。
2.極圧剤と油性剤 極圧剤は、高温の切削点で化学的に反応して金属表面に固体潤滑皮膜を形成し潤滑作用を示します。また、油性剤は極圧剤に比べて低い温度で作用します。これは、極圧剤は被削材との化学反応により潤滑皮膜を生成するのに対し、油性剤は被削材に吸着して潤滑皮膜を形成しますが、吸着力が弱いために高温になると表面から脱離してしまうため潤滑効果を失ってしまうためです。このように極圧剤は被削材と化学反応するため、被削剤に与える影響を考えると、不水溶性油剤の場合では特に銅板腐食試験で表される活性度が重要になります。活性度とは硫黄系極圧添加剤の銅に対する反応性の強さですから、活性度が強い程加工性は良好になりますが銅合金等の非鉄金属の加工の際に変色が起こる場合があります。したがって、これらの加工には活性硫黄を含まない油剤が適しています。 3.水溶性切削油剤の非鉄金属に対する影響 一般に、水溶性切削油剤の場合、さび止め性、耐腐敗性を考慮してアミン化合物を脂肪酸アミン塩として適用しアルカリ性にしています。したがって、銅やアルミ等の変色をおこすことがあり注意が必要です。また、最近携帯電話やノートパソコンへの需要が増えているマグネシウムの加工に水溶性切削油剤を適用した場合は、ワークの変色や切りくずとの反応による水素ガスの発生が考えられるため切りくず容器を解放にするなどその火災対策が重要となります。 参考文献 桜井、石油製品添加剤、第2版、幸書房 |