ID-358 スプレーグリース(エアゾール)について |
1.概説 スプレーグリースは色々な種類のグリースをエアゾール化したもので、一般のグリースと比べて次のような特徴を持っている。 (1)使い勝手が良い。 (2)1本単位での使用が可能なので少量の用途に適す。 (3)手が汚れない。 (4)潤滑部分への供給が容易。 (5)ゴミ、水分などの不純物が混じりにくい。 (6)洗浄効果もある。 反面欠点として (1)噴射溶剤とか希釈溶剤を含むので給脂した直後はたれ落ち等が多い。 (2)給脂した直後はすぐに使えない。 (3)周囲のゴミなどを潤滑部分へ巻き込む恐れがある。 (4)火気に対して危険。 (5)目的以外の部分にも噴射される。 (6)使用後の缶の処分問題がある。 等があげられる。 いずれにしても長短は併せて持っているので目的に応じての使用が肝要といえる。 2.スプレーグリースの種類 スプレーグリースは一般の潤滑グリース(リチウム系等)をそのままエアゾール化したものから個体潤滑剤のペースト、粘着性のある樹脂をスプレー化したものまでさまざまなものを総括して呼ばれているのが種類、用途等で (1)一般のグリーススプレー 一般潤滑部分 (2)固形潤滑剤のスプレー スライド面の馴らし、高温チェーン潤滑等用途 (3)粘着性のスプレー オープンギヤー、ロープ潤滑 (4)食品用スプレー 食品機械の潤滑等 (5)焼き付き防止用スプレー 高温部ねじ等の焼き付き防止用 3.スプレーグリースの構造・内容 スプレーグリースは次のような構成からなっている。 ![]() スプレーグリースの容器の構造 |
(1)噴射装置 | ![]() |
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バルブを中心とした装置で高圧状態で作動するので、その堅牢性、精巧度は非常に高い精度が要求される。材質はバルブが真鍮またはステンレス製、押しボタンはプラスチック製でスタンドパイプは塩ビ製が多い。 | ||||
(2)耐圧容器 | ||||
容器は耐圧製堅牢性が要求されるので通常金属製の缶が用いられる。 | ||||
(3)内容液 | ||||
内容液はグリース原体と噴射剤に大別される。 | ||||
イ.グリース原体 | ||||
それぞれの使用目的に合わせたグリースの種類が用いられる。この場合グリースそのものの硬さによっては噴霧しやすくするために溶剤等にて希釈される場合もある。 | ||||
ロ.噴射剤 | ||||
一般にスプレーグリースに用いる噴射剤としては液化石油ガスが用いられる。フロン規制がされるまではフロンガスが多く使用されていた |
4.今後の展望 スプレーグリースは塩素系溶剤・フロンガス等の規制を受ける前は、使用しにくいものとか汚れやすいもの等をスプレー化することによって容易に使用できるようにする等にて、用途は拡大の一途であった。しかしながら上記の規制がされることによって不燃ないし難燃という部分はなくなり、可燃性で火気に対しては危険なものになってきているので過去に多く作られていたアスファルト系のものをスプレー化したようなものは姿を消しつつあり、用途に応じての新たな商品開発と安全性の見直しなど課題は多くなっている。 |
「参考文献」 香粧品化学 (有)フレグランスジャーナル |