ID-139 水溶性切削油剤への防腐剤・防黴剤の適用について

水溶性切削油剤への防腐剤や防黴剤の適用形態は以下の2つに大別されます。
 
 
1.水溶性切削油剤の成分としての適用

 水溶性切削油剤を希釈した時、薬剤濃度が数十mg/Lから数千mg/Lになるよう配合されています。ただし、油剤成分と反応するために配合できない薬剤もあります。
 
 
2.使用されている水溶性切削油剤(使用液)への添加

 (1)予防的な適用
トラブル発生を防ぐために、防腐剤・防黴剤は以下のように適用されます。
 1)長期休暇前(機械停止前)に投入して腐敗予防を行う。
 2)更液前の水溶性切削油剤に投入して機械や配管、タンクの殺菌を行う。
 3)更液直後の水溶性切削油剤に投入して腐敗予防を行う。
 4)1〜2週間おきに添加して腐敗予防を行う。

1)、2)項の薬剤添加量は500〜3000mg/L、3)、4)項の添加量は300〜1000mg/Lです。

 (2)対症療法的な適用
 微生物によるトラブルが発生した場合、対症療法的に行われるのが使用液への防腐剤・防黴剤の投入です。投入量は薬剤によって異なりますが、長期にわたって対策の効果を持続させるとともに、薬剤耐性を微生物に獲得させないためにもトラブルの原因となった微生物を完全に死滅させることが望ましいです。薬剤の添加量は殺菌効果とコスト、作業者への影響を考慮して決定されます。通常は500〜2000mg/Lの添加が行われることが多いようです。
 また、殺菌対象が糸状菌の場合、胞子に対して薬剤が効かない場合があるので、2週間程度の間隔を空けて、再度薬剤を投入して対策するのが効果的です。

 
 
《参考》
 薬剤によって微生物が死滅しても、微生物が代謝した悪臭物質(低級酸など)や菌糸の塊は使用液中に残る。薬剤の投入はトラブルの拡大を止めるが、トラブルの解消には多少の時間が必要である。
濃度・pH維持・清浄化などの日常の管理を十分行い総合的な微生物対策を構築すべきである。微生物による劣化の兆候を早めに発見し、対処することが油剤の長寿命化、生産コストの低減につながる。

 
 

 
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