ID-153 冷凍機油のシールドチューブ試験
 
 試験管に触媒として鉄、銅およびアルミニウムを入れ、油0.7ml、冷媒0.7mlを注入後密閉します。次に、密閉ガラス管を125〜200℃(標準175℃)で一定時間(標準14日間)加熱後、溶液の色、外観などによって、冷凍機油の化学的安定性を評価します。
 
 冷媒、金属、冷凍機油の三者を共存させて高温にさらすと金属の触媒作用によって油と冷媒とが化学変化をおこし、不飽和炭化水素とHCFC冷媒では塩酸を生成させます。不飽和炭化水素は重合して色相の濃化、さらにはスラッジを析出させます。そしてこのスラッジは油フィルターをつまらせて潤滑油給油圧力を低下させ潤滑不良の原因となったり、キャピラリーチューブ、膨張弁をつまらせたりします。
 
 一方、塩酸の発生により、金属が腐食されたり、銅メッキ現象(Copper Plating:油中に生成した酸により、系統中の銅が溶出して、シリンダ、ピストン、ピストンピン、軸受などに沈着する現象)を引き起こします。
 
 このような化学変化の状態を評価する方法としてシールドグラスチューブテストが広く採用されています。この方法は銅、鉄、冷媒、油、金属をガラス管に封入して電気炉で所定時間加熱した後の油の色相変化、金属腐食ならびに塩酸生成の度合を評価するものです。
 

 
写真 フロン安定度試験
 
175℃×480h 触媒Fe Cu、 冷媒 フロンR−12
 
 写真は主要冷凍機油のフロン安定度試験前後の状態を示したものです。
 冷凍機油としてはこのテストでは変色が少なく、HCFC冷媒では塩酸生成量が少なく、金属を腐食させないものが望まれます。
 
 

 
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