ID-183 チムケン試験のOK値について
 
 
1.チムケン試験とは?
 
 チムケン試験は、主として極圧潤滑油の耐荷重能を測定する方法の一つであり、曾田式四球法とともに『潤滑油−耐荷重能試験方法』として、JIS K2519(1995)に規定されています。

 ここで言う耐荷重能とは、試験機を一定の摩擦条件下で運転したときに、滑り摩擦接触面に焼き付き等の損傷を生じさせず、潤滑油によって支え得る最大荷重または最大圧力を意味します。 チムケン試験では、耐荷重能をOK値で表します。

 以下に、チムケン試験の概要およびOK値の測定方法について述べます。
 
 
2.チムケン試験の概要
 

(1)試験カップを取り付けた試験機の上部試料槽に約3Lの試料を満たし、試験機系内を約15分間循環させながら、40〜42℃になるまで加熱します。
(2)試験機に試験ブロックを取り付け、自動負荷装置に試験荷重のおもりを載せた後、給油弁を開き、試料が下部試料槽に約半分たまったとき、試験機を800±5rpmで駆動させ、30秒間ならし運転を行います。
(3)ならし運転後、自動負荷装置を始動させて、試験ブロックと試験カップの間の潤滑油膜に荷重をかけ、10分±15秒間におけるスコーリング1)の有無を調べます。
(4)この操作を1回毎に新しいカップおよび試験ブロックの新しい面を用いて繰り返し、OK値およびスコア値を求めます。
1)試験ブロック表面に現れる種々の摩耗こんの中で、図1(a)〜(b)に示す状態をスコーリングなし、図1(d)〜(f)に示す状態をスコーリング、スコーリングを生じない最大荷重をOK値、スコーリングを生じる最小荷重をスコア値といいます。

図1 試験ブロックの摩耗こん(例)

 
 
3.試験の手順
 
 以下に、試料のOK値が未知の場合の試験手順について、図式化して示します。
 
 
図2 試料のOK値が未知の場合の試験手順
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スコーリングの判定が困難なときは、同じ荷重で繰り返し試験を行い、スコーリングを生じるか、又は疑わしい場合にはスコーリングを生じる荷重とします。
もし、2回目の試験でスコーリングを生じないときには、同じ荷重で3回目の試験を行い、スコーリングを生じなければスコーリングを生じない荷重とします。
3回目の試験でスコーリングを生じるか、又は疑わしい結果が得られたときは、この荷重での試験はスコーリングを生じる荷重となります。
 
 
4.OK値の表示

 OK値は、負荷レバー先端にかけたおもりの質量値で表し、OK値が13.6kg(30Lb)以上の場合は2.27kg(5Lb)の倍数で、13.6kg(30Lb)未満の場合は1.36kg(3Lb)の倍数で表します。

 
 
5.チムケン試験機

 図3にチムケン試験機の形状、寸法を示します。

図3 チムケン式極圧試験機

 
 
[参考文献]
  JIS K2519-1995 潤滑油-耐荷重能試験方法

 
 

 
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