ID-222 油圧作動油の きょう雑物試験とは


油圧作動油は基油(Base Oil)と各種の添加剤(Aditive)から成り立っています。
油圧システムを使用する人は、油圧システムの運転に最適な油圧作動油を選定します。しかし現実には基油、添加剤以外の異物が油圧作動油中に多少は混在しています。
これらは目に見えないような微細な状態の塵埃や鉄粉、摩耗粉、赤錆などです。
さらに油圧システムの使用時間の経過につれて塵埃や水分が混入したり、錆や基油、添加剤の劣化物、変質物などが発生してきます。いずれも増加するにつれて油圧システムの正常な運転に悪影響を及ぼすようになります。

このように油圧作動油としては油圧システムの運転に不必要なもの、また害を及ぼすようなものを"きょう雑物"と呼んでいます。
"きょう雑物"には様々な種類、形態があり混入経路も色々あります。 きょう雑物試験は油圧作動油中に混入しているきょう雑物の量や、比率を確認する方法で、一定期間ごとのチェックを欠かすことができません。

  1. 不溶解分の測定
    ASTM D 893では有機溶剤のペンタン不溶解分と有機溶剤のトルエン不溶解分を測定することになっています。図1のようにペンタン不溶解分として捕捉した物質もトルエンによって溶解する物質がありますから、きょう雑物の中では

    (ペンタン不溶解分)-(トルエン不溶解分)=(不油溶性スラッジ)となります。
    図1 不溶解分


  2. 微粒子の計数
    形を持っている微細粒子はJ I S B 9930の規定で試料油100mlについて数と大きさを計数するようになっています。

  3. 微粒子の重量測定
    J I S B 9931によって試料油100ml中の異物重量mgが測定されます。

  4. 微量水分の測定
    J I S K 2275に規定されたカ-ルフィッシャ-法によって10〜1999-2003p p mの範囲で微量水分が測定されます。

特に2.〜 4.については汚染度の測定または清浄度の測定と呼ばれますが、油圧作動油にとっては、ここの4項目は何れも"きょう雑物"であり、できるだけ少なくするための対策(汚染管理)がなされます。
(以 上)




Copyright 1999-2003 Japan Lubricating Oil Society. All Rights Reserved.