ID-234 水溶性切削油剤のpH・密度
 
 
1.水溶性切削油剤のpH
 
 水溶性切削油剤のpHとは、水希釈液のpHです。JIS規格では、JIS K2241において、下表のように定められています。pHの測定方法は、ガラス電極pH計(JIS Z8802の7)を用いて行われるよう定められています。
 
表1 水溶性切削油剤のpH(JIS K2241)
W1種 1号 8.5以上10.5未満
2号 8.5以上10.5未満
3号 8.0以上10.5未満
W2種 1号 8.5以上10.5未満
2号 8.5以上10.5未満
3号 8.0以上10.5未満
 
 水溶性切削油剤のpHは被削材への影響、皮膚炎、耐腐敗性などから重要です。被削材への影響では、アルミニウムのような両性金属はアルカリとも反応するためpHが10以上になることは好ましくありません。また、皮膚もアルカリに侵されるのでpHが高い油剤は皮膚炎が生じやすくなります。一方、耐腐敗性から見れば、pHが高い方が菌が発生しにくく、耐腐敗性は良好になります。

 

 

 クーラントでは菌が繁殖すると低級カルボン酸が生じてpHが低下することがあります。そのため、使用液検査ではpHを定期的に検査します。
 
 
2.水溶性切削油剤の密度
 
 密度に関しては、切削油剤のJIS規格(JIS K2241)に規定はありません。水溶性切削油剤の希釈液は90%以上が水でありますから、約1g/cm3です。原液の密度は0.9〜1.1程度です。原液中の水分量が多いW2種(ソリュブル型)では1.0〜1.1 g/cm3、W1種(エマルション型)は鉱油分が主体となっているため0.9〜1.0 g/cm3程度になります。

 
 

 
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