ID-244 ハイアック分析について線

 最近の油圧機器は高速化、高圧化および精密制御する傾向にあり、これに伴い作動油中の汚染物質が性能低下などのトラブルを引き起こす原因にもなります。
油圧機器にはその種類によって表1に示すような大きさのすき間があり、このすき間にほぼ等しいか、それより少し小さい寸法の汚染物質の影響が大きく作用します。


 汚染物質の発生源には次のようなことが考えられます。
  • 油圧機器内部の残留汚染物質
  • 内部発生する汚染物質
  • 保安修理時に侵入する汚染物質
  • 外部より侵入する汚染物質
 ここでは作動油中に混入したこれらの汚染物質について定量的に把握するための方法のうち、自動式粒子計数器法(ハイアック分析)について説明します。
 
 
表1 油圧機器のすき間の大きさ
油圧機器 部位 すき間μm
ベーンポンプ ベーンとリング間
ベーンの側面
0.5〜1
5〜15
歯車ポンプ 側板
歯先と本体間
1〜100
2〜100
ピストンポンプ ピストン穴
弁板とシリンダ間
5〜40
0.5〜2
方向制御弁   1〜25
サーボ弁 オリフィス
フラッパとノズル
制御スプールと本体穴間
制御エッジ
130〜450
18〜65
1〜20
>1


 まず、簡単な原理を図1に示しました。
 レーザーダイオードのレーザー光を検出部に照射すると、検出部を通過する粒子によりレーザー光が遮断され、フォトディテクターの受光量が減少します。
 その変化を粒子の大きさに比例したパルスに変換し、粒子径と粒子数を測定します。

センサーの概要(HIAC/ROYCO HRLD-400)
光 源 レーザーダイオード
光学系 光遮断方式
検出粒径 2〜400μm
流量レンジ 10〜200ml/min
最大濃度 7,800個/ml(計数損失率5%)

図1 自動式粒子計数器法の原理


 図2に示したように、カウンターでは不定形粒子をその相当円の直径で粒径を測定します。校正によって得られたしきい値と比較され、粒径幅別の各チャンネルへ粒子径を積算します。


図2 不定形粒子の大きさについて


 計測結果に影響を与える因子としては次の点があげられます。

気泡 気泡は汚染粒子としてカウントされるので、減圧脱気操作が必要です。
水分 水滴や濁り等があった時は、水分を除去しなければなりません。
流速 校正時の流速を基本として、±10%以内になるようにします。
攪拌 粒子が均一な状態になるように、2〜3分激しく振ります。
シリコン消泡剤 通常5〜20μmで油中に分散しており、粒子として計測されてしまいます。この影響をなくすため清浄な白灯油で希釈・溶解させ、激しく攪拌後測定する方法があります。
飽和濃度限界 濃度が増加すると、センシングゾーンに2個以上の粒子が入り重なりあってしまうため正確な結果が得られません。


 得られたデータよりNAS等級やISO分類に基づいて清浄度クラス(コード)の分類を行い、汚染管理に役立てます。
 詳細はJIS B 9930-1993を参照して下さい。

[参考文献]
  (社)潤滑油協会 研修会試料
     JIS B 9930、日本規格協会
 
 

 
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