ID-364 潤滑油類のISO分類について(ISO6743-Part0:総論)
 
 
日本には、工業生産および生産品の標準規格として「JIS規格」が制定されていますが、近年は世界的な統一を目指してISO規格に準拠していく傾向にあるようです。潤滑油類については未だ全油種が規格として制定されていませんが、油圧作動油や工作機械油などは、メーカーや業界団体等で採用されつつあります。(例;(社)日本工作機械工業会 制定 MAS規格 など)

ISO規格では、潤滑油類の分類と品質規格は別に定められていますが、品質規格は未決のものがまだ多くあります。ここでは、「潤滑油類の分類;ISO6743」について一覧表としました。

ISO6743は、『(クラスL)潤滑剤;工業用潤滑油と関連製品』として、1981年から制定されています(参考までに、産業用燃料油は「ISO 8216クラスF(FUELS)」として制定されています)。 ISO6743では、具体的な潤滑油の特性仕様を表示するために、Classification part 0〜15 を設けています。

この分類中には電気絶縁油の詳細はありませんが、その規格がIEC(国際電気協議会)によるためと思われます。

コード 記号 適 用 箇 所 ISO 6743Classification
( 総 括 ) Part0
Family A 全損式給油装置油 Part1
Family B 型枠剥離油
Family C 歯車装置油 Part6
Family D 圧縮機油(含:冷凍機用,真空ポンプ) Part 3A,3B
Family E 内燃機関油 Part 15
Family F スピンドル軸受,軸受,連結クラッチ油 Part2
Family G 摺動面油 Part 13
Family H 油圧装置油 Part4
Family M 金属加工油 Part7
Family N 電気絶縁油 -
Family P 空圧機械油 Part 11
Family Q 熱媒体油 Part 12
Family R 短期防食・防錆油 Part8
Family T タービン油 Part5
Family U 熱処理油 Part 14
Family X グリース潤滑 Part9
Family Y その他 潤滑油 Part 10
Family Z スチーム シリンダー油

これらを表示する場合には、以下の例のような形でおこないます。 IS0-L-TSA32 (R&O型タービン油 粘度グレード32)
IS0-L-HM46 (耐摩耗性油圧作動油 粘度グレード46) ISO-L-CKC150(極圧剤添加ギヤー油 粘度グレード150)
いずれも、「ISO-L-」に続く最初の文字が油種のグループを表わすことになります。そして、それぞれの特性記号を表示した後に、ISO3448に定める粘度グレードを表記します。なお、グリース等の表示が若干異なりますので、注意が必要です。詳細はそれぞれの『 Family 』 の記載内容をご覧ください。

また、前述のとおり、実際の品質規格はISO 6743 にはありませんが、現在 制定された品質規格には次の油種があります。
ISO 8068 タービン油;ISO-L TSA,TGA の性状
ISO / TR 10481工作機械用油;ISO-L- AN,FC,FD,Gの性状
ISO 11158 油圧作動油;ISO-L- HH,HL,HM,HR,HV,HG の性状
ISO 12925-1 工業用ギヤー油; 密閉式歯車装置用ギヤー油の性状
その他、現在、検討中・最終審議中 の油種が多くあります。
以 上

 
 

 
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