ID-S68 ディーゼルエンジン油の規格動向(ヨーロッパACEA E5)
 
 
ヨーロッパ:ACEA E5規格について
 ヨーロッパのACEAにおいても、HD DEOの最新規格として、E5が議論されています。
 
 ACEAのAシリーズはガソリンエンジン、Bシリーズが乗用車用のライトデューティーのディーゼルエンジンです。Eシリーズがヘビーデューティーのディーゼルの規格で、現在E1からE4まで制定されています。
 
 E5は、国際的なハーモナイゼーション、ディーゼルエンジン油の性能、それから環境規制を目的に議論されています。環境規制では、排気ガスのEuro V、Euro Wを考慮しています。EGRに関連する試験の採用の見込みは現在のところありませんが、NOxを低減する目的からEGRの採用が見込まれ、その際のスーツハンドリングが問題になってくると考えられます。
 
 この規格は、実際にはE4+CH-4という形で現在議論されていまして、アメリカと目指す方向は一緒なのですが、両地域の自動車会社が作っているエンジンのタイプおよび規制等が違うという問題があります。特徴的なのは、アメリカがPC-9に向かうと灰分レベルが今より少し上がりますが、ヨーロッパではすでに1.4とか1.5と高いので、そういう意味では近くなっています。E5は、ACEAとAPIとをうまく結合させるために検討しているということにもなると思います。
 
ACEA E5-99 ドラフト2(05/98)
剪断安定性:ステイ・イン・グレード
高温高剪断粘度:3.5mPa・s以上。蒸発性:13重量%以下。硫酸灰分:2.0%以下
シール性能については1999-2003年に再検討
酸化安定度試験は高温清浄性試験を改定(2ピースピストン:300℃)
E4-98の摩耗評価試験OM602A:ただし他の試験法と性能項目が重複
スーツコントロール:MACK T-8E(CH-4レベル)
ボアポリッシング、ピストン清浄性、ターボデポジットの試験法OM441LAを改訂(提案)
   ボアポリッシング:2.0%未満
   ピストン清浄性:merit25以上
   400時間経過時のブースト圧損失:4%未満
EGRの試験についてはE5-99では導入されない見込み
CUMMINS M11(CH-4レベル)
MACK T-9(CH-4レベル)
省燃費性能についてはE5-99では導入されない見込み

「出典」
特集2 自動車のトライポロジー -エンジン編ー(2) 月刊トライボロジ1999-2003.5 P29
 
 

 
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