ID-256 エコマークについて
 
 21世紀を目前にして、環境保護が強く叫ばれています。各界の企業が自主的に有害物質の使用制限や資源の保護を目指した商品の取り組みに力を注いでいます。
 
 エコマークはこうした企業の取組みの中で開発された商品の中で、“環境にやさしい”と認定された商品に付与されるマークで、日本では1989年から環境庁の指導により「(財)日本環境協会 〔東京都港区〕」が受付け、承認をおこなっています。(申請は各企業の任意であり、法律等で義務付けられているものではありません。)“環境にやさしい”とは、他の同様な商品と比較して、その商品のライフステージすべての段階において環境への負担が相対的に少ないものを指し、制度としては「ISO 14024(タイプ I 環境ラベル制度)」に準拠されていますが、具体的な認定基準ならびに承認は各界の有識者からなる委員会で決められます。
 
 エコマーク商品は石油製品では『ベンゼン含有量の低い自動車ガソリン』と『生分解性潤滑油』がありますが、再生紙やプラスチック再生品など他業界を含め、70種類・約3000商品が登録されているとのことです。
 
 商品のエコマークの承認には次表項目にあるように、その商品の原料の段階から生産、製品化され、流通、消費(使用)を経て廃棄されるまでの〔商品ライフステージ〕の中において環境の保護を優先する必要な基準を満たしていなければなりません。(財)日本環境協会が定めている環境負荷項目と、例として生分解性作動油の審査該当項目を表1に示しました。なお、1998年7月に『生分解性潤滑油』という種別が制定され、分類および試験法が変更されていますので、【別添】として審査試験法についての概要を記載しました。
 
表1商品のライフステージでの環境負荷項目選定表
環境負荷項目 商品(生分解性作動油)のライフステージ
資源採取 製造 流通販売 使用消費 廃棄 リサイクル
1 資源の消費  
2 地球温暖化影響物質の排出        
3 オゾン層破壊物質の排出            
4 生態系の破壊
5 大気汚染物質の排出      
6 水質汚濁物質の排出  
7 廃棄物の排出・廃棄        
8 有害物質等の使用・排出    
9 その他の環境負荷          
◎:審査重点項目
○:審査対象項目
 
 
 新しく改正された『生分解性潤滑油』の内訳は次のとおりです。
 
生分解性潤滑油
1)2サイクルエンジン油(モーターボート船外機用2サイクル油等も含む)
2)油圧作動油     (脂肪酸エステル油等合成油も含む)
3)グリース
4)その他潤滑油    (チェーンソーオイルなど)
  ただし、スプレータイプは除外する。
 
 商品へのエコマークの表示は、表示しようとする企業が(財)日本環境協会に指定されたデータを添えて申請し、審査を経て認可されます。現在、エコマークの取得は各企業の任意申請となっていますが、昨今の環境保護問題を受けて、ユーザーの関心も高まりつつあり、その重要性は増すものと思われます。
 エコマーク制度は、世界 約30ヶ国に同様の制度があり、日本を含めて下図のような表示マークが附けられています。
 
 エコマークに付記されるロゴ
 @ マーク上面(固定)「地球にやさしい」
 A マーク下面(類型毎)
   ・生分解性オイル(またはグリース)
   ・古紙の利用○○%
   ・水をきれいに
           ほか
 
詳細については、(財)日本環境協会 のホームページをご覧下さい。
アドレスはhttp://www.jeas.or.jp 〔Internet Number/URL :0335082651〕
 

 
【別添】新「生分解性潤滑油」の認定基準 等について
1.用語の定義
生分解性:有機物が微生物により分解され、最終的に無機化されることまたはその難易性の程度。つまり、有機物の構成元素である炭素、水素がそれぞれ二酸化炭素、水まで分解することである。
LC50値:50%致死濃度。均一と考えられる母集団動物の半数を死亡させる液体中の物質の量(濃度)である。
2.認定の基準
1)(商品の)製造にあたって、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭、有害物質の排出などについて、関連する環境法規および公害防止協定などを遵守していること。
2)EDTA(Ethylenediamine tetraacetic acid)およびノニルフェニール系の界面活性剤を使用しないこと。
3)上記2の対象に該当する潤滑油であって、OECD(経済協力開発機構)化学品テストガイドライン301Bまたは301Cの方法により測定される生分解度が28日以内で60%以上あること。
4)生態影響については、魚類による急性毒性試験の96時間LC50値が100mg/リットル以上であること。
5)容器については、「容器包装リサイクル法」に従うこと。
3.品質に関する基準
 “JIS規格”または“当該設備または機器関連団体による規格”等に該当することと定められていますが、ここでは省略します。
なお、従来の生分解性の基準であった 「CEC L−33−T−82」はその試験方法の中に有害溶剤が含まれていることから、今回の改定で廃止されております。
 

 
関連Q&A
  生分解性潤滑油
 
参考文献
  (財)日本環境協会 発行パンフレット
      同 機関誌
 
 

 
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