ID-263 PL法について

 
 PL法とは、Product Liability=製造物責任 の略で、米国で発展した法律ですが日本でも、1995年7月1日より施行されました。PL法の目的は「被害者の保護を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」とされています。
 従来、日本では【民法 第709条(不法行為責任)】という法律があり、製品等の欠陥によって引き起こされた消費者の損害をその企業に賠償請求する手段はありましたが、被害者は、その企業がどのような過失によって欠陥を引き起こしたかを証明しなければなりませんでした。
 そして、機械文化の進展とともに消費者に届けられる製品はどんどん高度な性能が付加され構造も複雑化し、専門知識のない消費者にとっては使用中の製品に欠陥があり危害が発生しても、その原因を究明し、企業の過失を立証することは、ますます困難となっています。また、たとえ立証できたとしても、大きな組織をもつ企業を訴えることは、その後の裁判に要する時間や経費など、消費者には大きな負担を強いられます。
 PL法は、これに対して「企業の過失の有無にかかわらず、製品*1に欠陥*2があり、その製品の使用により、人体もしくは財産が受けた損害(その製品の単独の故障や破損はPL法の対象にはならない)について、製品の欠陥と損害との因果関係が立証されれば、企業はその損害賠償に応じなければならない」というものです。この結果、消費者の保護が図られると共に、企業はより安全に配慮した製品を供給し、かつ発生しうる危険性を表示することにより、消費者に危険回避を促すことになりました。
 消費者はより安全性、信頼性の高い製品を入手できるようになりますが、反面 消費者自身が、取扱説明書や本体表示の注意事項をよく理解し遵守する必要があります。
 なお、海外製品の場合は、一概には言えませんが その輸入業者が責務を負うことになるようです。


 潤滑油類・グリース類については、つぎのような点が関係すると思われます。
(1)製品の品質管理や使用方法
(2)容器の使用方法や取扱い方法
 これらの詳細については、製品の「 MSDS(製品安全データーシート)」あるいは 容器本体に記されている「PL表示」をご覧下さい。

 油種・油脂によっては多少異なりますが、ごく大まかな内容例をあげますと、つぎのようになります。
 
  製品に関わる点 容器に関わる点


1.より安全性の高い原材料の開発あるいは選別使用
2.有害・危険情報の提供
3.火気に近づけない
1.キャップやカシメ部で手を切る事があるので素手で扱わない
2.乱暴に扱わない
3.冷暗所に保管する



4.飲まない
5.素手で扱わない
6.保護メガネをかける
7.ミストを吸いこまない
8.廃油は指定業者に処理依頼する
4.保管時には必ず密栓をする
5.高温場所に置かない
6.中身の有無に関わらず火気に近づけない
7.子供の手の届かない場所に置く


【注】本文中の注釈について
*1 通常の使用において、その製品に設定された機能が充分に動作すると一般的に考えられる期間内の製品をいいます。
*2 その製品が使用されるうえで通常有すべき安全性を欠くこと。なお、その製品の引き渡し(販売)時点において可能と考えられる、安全性の確認・測定試験等によっては発見できなかった瑕疵については、PL法の対象にはされない場合があります。
 
 

 
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