ID-S25 オイルシールの漏れについて
 
 オイルシールの漏れについて
 オイルシールからの漏れが発見された場合には、まず漏れの発生箇所を十分確認する必要があります。漏れがオイルシールからではなかったり、漏れ以外の付着油脂などを、オイルシールからの漏れと誤認してしまうことが散見されます。
 オイルシールからの漏れは、図1に示すようにシールリップ部からの漏れ、はめあい部からの漏れに分けられます。それぞれの漏れ原因の代表的なものを、要因図(図2、図3)に示します。

 
図1 オイルシールからの漏れ発生箇所
 
 

 
図2 リップ部からの漏れ要因図
 
 

 
図3 はめあい部からの漏れ要因図
 
 なお、オイルシールからの漏れと誤認される例は次のようなものがあります。

 @機器の合せ面からの漏れ
  ●ガスケットの永久変形
  ●締め付けボルトのゆるみ
  ●組立部品の“キズ”
 A機器本体、カバー部品の亀裂、巣(鋳物)からの漏れ
 B組立時のオイルシールや、ハウジング大気面の油脂付着
 Cオイルシールの初期潤滑剤のはみ出し

 漏れの要因は図2、3に示すように多いので、紙面の関係上、リップ部過大摩耗について故障モード、原因と対策を表1に示します。その他についてはシールメーカーのカタログや技術資料を参考にして下さい。

 
表1 リップ過大摩耗の原因と対策
 
  故障モード 原因 対策
潤滑不足 リップ先端部の摩耗が大きく、摩耗面は光沢がなくあれている。
●潤滑油が指定量以下で使用されリップ部まで油が回らず、乾燥状態で摺動したため、異常摩耗した。
●オイルシール近傍の構造が悪く、リップ部まで油が回らなかった。
●飛沫潤滑のため、始動時から数分間油が全く回らなかった
●潤滑油を指定量まで補給し、運転する。
●応急処置としては、ダブルリップタイプに変更し、リップ間にグリースを塗布する。
●恒久対策としては、オイルシール近傍の構造を変更し、油がリップ部に回るようにする。
異物かみ込み リップ先端部の摩耗が大きく、”すじ”や”へこみ”がある。
●切削くずの付着した軸やオイルシールを使用したため、切削がリップにかみ込んだ。
●ちりやほこりの付着した軸に、オイルシールをそのまま使用したため、リップにかみ込んだ。
●オイルシールや軸に異物がある場合は、使用する潤滑油で洗浄を行う。
●オイルシールや軸にちりや砂塵などがつかないように組立を行う。
内圧大 リップ先端部の摩耗が大きく、”へこみ”がある。
●オイルシール部の圧力が設計値以上であった。 ●耐圧オイルシールに変更する。
●ブリーザを設け、圧力がかからない構造にする。
軸表面粗さ過大 リップ先端部の摩耗が大きく、摩耗面に円周方向の”すじ”が付いている。 ●指定の表面粗さ(2.5〜0.8)μmRyより粗い軸を使用したため、異常摩耗した。 ●指定粗さの軸と交換する。
「出典」
  オイルシールQ&A 月刊トライボロジ1995.11 p48
 
 

 
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