ID-S38 エンジン用すべり軸受はどのように設計されているか1 まず、使用条件の確認はどうしているのでしょうか エンジンメーカーより提示されるエンジン諸元と軸受周り基本諸元を基にコンピュータシミュレーション作動計算を行います。荷重極線図から荷重パターンや軸受面圧、軸心軌跡図から最小油膜厚さとその作用位置など使用条件を解析します。 この解析結果から各諸元の適否や軸受材料、設計仕様の設計診断を行います。例として各種量産エンジン最高出力時におけるコンロッド軸受の周速一面圧の計算結果を図1に示します。 ![]() 図1 コンロッド軸受の面圧と周速 これは市場実績を示しており計算結果が実績範囲以下なら特に問題なく、範囲外の場合には各部重量や寸法などの諸元見直しを行い、軸受面圧や最小油膜厚さなどが許容範囲内になるよう適正化を図り基本諸元を決めます。 また実際のエンジンで軸受温度や油圧などを実測し条件を確認する場合もあります。 次に、軸受材料の選択はどうしているのでしょうか 作動解析で求めた面圧、最小油膜厚さ、すべり速度、軸受温度などから軸受材料を選定します。図1中に示すように一般的なガソリンエンジンや小型ディーゼルエンジンではアルミ合金軸受、高速ガソリンエンジンの大端軸受や中・大型ディーゼルエンジンはオーバレイ付きの銅鉛合金(ケルメット)が使われています。 最近はエンジンの高性能・長寿命保証化に伴い軸受材料も高面圧・高温下での耐疲労性や耐摩耗性などを高めたものが開発され使われ始めています。 |
「参考文献」 大豊工業(株)軸受デザインガイド(1992) |
「出典」 |