ID-320 引火点の測定方法(PM法やCOC法)について
 
引火点の測定方法には、ペンスキーマルテンス密閉式引火点(以下P.M式と記す)とクリーブランド開放式引火点(以下C.O.C式と記す)そして、タグ密閉式引火点試験方法の3種類があります。
 
 
ペンスキーマルテンス
密閉式引火点
クリーブランド
開放式引火点
タグ
密閉式引火点試験

 
P.M式とC.O.C式を比較すると表1のようになります。
 

表1 引火点試験方法の比較
  P.M式引火点 C.O.C式引火点
試料容器の構造 密閉式 開放式
適用温度範囲℃ 50以上 80以上
適用される主な油種 軽油、重油、絶縁油 一般潤滑油
アスファルト
[試験条件]
昇温中の試料攪拌の有無
昇温速度予期引火点55℃下まで 5〜6℃/分 14〜17℃/分
昇温速度予期引火点28℃下から 5〜6℃/分 5.5±0.5℃/分
試験炎の大きさ直径mm 4±0.8 4±0.8
試験炎をのぞかせはじめる温度
予期引火点下℃
16 28
試験炎をのぞかせる
間隔℃
(引火点が104℃以下のもの) 
(引火点が104℃を超えるもの) 

 
両試験法による引火点の違いは、C.O.C式では開放型試料容器中で試料を加熱してゆくために油蒸気は大気中に拡散しやすくなります。したがって、試料温度があまり高くなく、蒸気発生温度が遅い時には、試料容器上に可燃混合気をつくるだけの油蒸気が滞留しにくくなります。
 
これに対して、P.M式では、試料を密閉した容器中で徐々に加熱してゆくため、発生した油蒸気は試料容器中にとじこめられ、可燃混合気をつくりやすくなります。そのためにP.M式引火点はC.O.C式に比べ、一般に低い値を示す傾向にあります。
タービン油やエンジン油などについて測定した結果の一例を表-2に示します。
 
この結果によると、新油のP.M式引火点はC.O.C式引火点に比べ10〜20℃低い値を示し、エンジン使用油ではこの差が大きくなる傾向にあります。

 
表2 P.M式引火点とC.O.C式引火点の測定値の比較
  P.M式引火点℃ C.O.C式引火点℃
ガソリンエンジン油 194 208
陸上ディーゼルエンジン油 224 242
83タービン油 226 240
工業用循環油 196 208
舶用エンジン油 216 238
ガソリンエンジン使用油  99 174
陸上ディーゼルエンジン使用油(1) 218 242
       〃      (2) 222 240
舶用ディーゼルエンジン使用油(1) 240 252
       〃      (2) 200 228
       〃      (3) 182 218
 
 

 
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