ID-L235 ストライベック曲線とは
 
 相対運動をする2面間における潤滑状態を説明するために、一般によくストライベック曲線が使われます。
 
 ストライベック曲線は、そもそもドイツの研究者であるProf.Stribeckが1902年にすべりおよびころがり軸受けの摩擦に関し、荷重(負荷)、すべり速度および温度(潤滑油粘度の変化として現れる)の関数として摩擦係数を測定し、図1に示すような関係を導き出したものです。
 

 
図1 ストライベック曲線
 
 
 図1に示したとおり2面間の摩擦状態は、潤滑油の粘度、すべり速度および荷重により3つの領域に区分することができます。すなわち、潤滑油が2面間に介在し完全に両者を分離し潤滑する流体潤滑領域(I)、潤滑油膜が著しく薄くなり、摩擦現象が潤滑油の粘性からは説明できない領域で潤滑油の界面化学的性質が重要となる境界潤滑領域(III)および流体潤滑と境界潤滑が混在しておこる混合潤滑領域(II)であります。
 
 (I)の潤滑状態では固体同士の接触がないため基本的には摩耗はおこらず(表面疲れ摩耗、キャビテーション、エロージョン摩耗は除く)、摩擦係数は0.001〜0.01程度と非常に小さい値になります。この領域で、温度の上昇による潤滑油粘度の低下やすべり速度が低下するか、あるいは荷重が増加すると2面間に介在する潤滑油の油膜厚みは薄くなり摩擦係数は小さくなります。油膜厚みがある程度薄くなると流体潤滑状態は限界となり一部は表面同士の接触がおこり(II)の状態となります。
 
 さらに、荷重が増し、速度が低下し温度の上昇により潤滑油粘度が低下すると油膜が益々薄くなり(II)の状態よりも表面同士の接触面積が広がり摩擦係数は0.1〜0.3程度と上昇し(III)の状態となるわけです。
 
 このように、各領域における潤滑下のシステムにおいて運転状態を最良にするために、このストライベック曲線で示される粘度(η)・速度(V)/荷重(FN)の関係を把握することが重要であります。
「参考文献」
  講談社 トライボロジー H.チコス著
 
 

 
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