ID-075 コンプレッサー油とゴム膨潤 |
ゴム膨潤性は、潤滑油のアニリン点によって変化します。精製度が高くてアニリン点の高い基油を使ったコンプレッサー油はゴムをあまり膨潤させません。 レシプロコンプレッサー油では、弁へのカーボン堆積を抑制し、除去し易くするためにアニリン点が低目のナフテン系基油を使うメーカーも有り、これには耐油性の高いゴムを選定する必要があります。 ![]() 図1 アニリン点とゴム膨潤性 スクリューコンプレッサー油では精製度の高いアニリン点の高いパラフィン系基油が使われるためゴムを膨潤しませんが、長寿命型のアルキルナフタレン系やポリαオレフィン系コンプレッサー油では鉱油と違った挙動を示す。ポリαオレフィン系ではゴムが収縮するために漏れに注意する必要があり、エステル系やアルキルナフタレン系では膨潤の少ないゴム材料を選ぶ必要があります。 ゴム材料に対するコンプレッサー油基材の膨潤性を表1に示します。 |
鉱 油 | ポリαオレフィン | エルテル | アルキルナフタレン | |
---|---|---|---|---|
ニトリル系ゴム | 1.8 | −2.2 | 20.0 | 11.2 |
アクリル系ゴム | 0.5 | −2.5 | 24.6 | 5.7 |
フッ素系ゴム | 0 | − | 1.8 | 0.2 |
シリコン系ゴム | 10.4 | − | 10.3 | 8.5 |
数値は120℃、70h浸漬後の体積変化率(%) |
エステル系やアルキルナフタレン系基材を使ったコンプレッサー油には、フッ素系ゴムのような膨潤性の低い基材が望まれます。 ポリαオレフィンでは膨潤性の基材を混合して調整すると良いようです。 また、使用温度が高くなると表1の値はより大きくなることを考慮に入れておく必要があります。 |