ID-S06 グリースの変色原因と潤滑トラブルの防止について
 
グリースの変色原因と潤滑トラブルの防止について
 
 グリースを使用していたら、廃グリースが黒化していたという例をご覧になったことがある方は少なくないのではないでしょうか。
 
 グリースの黒化原因は劣化と摩耗粉の混入の他にシール材の摩耗も無視できません。
 黒化の原因究明は、劣化によるものであれば赤外吸収スペクトルによって確認できます。また摩耗が原因とすればグリース中に含まれる鉄分の量を測定する事により推定できます。(この両者の判断に至らない場合シールの摩耗を検討する)。
 
 さて、この原因に対する対応として、劣化によるものであればグリースの給脂量の適否を検討します。給脂量が少なく軸受内で高温にさらされている時間が長いと劣化が進行し黒化することがあります。この最適給脂量は軸受形状、容積、温度、グリースの酸化安定性によって異なりますが一般的目安として1〜3g/Hr以上の給脂であれば充分と考えられます。給脂量がこの条件を満足していれば劣化の原因は使用グリース自体の酸化寿命の問題と判断されます。グリースの黒化が摩耗による場合はグリースの基油粘度、極圧添加剤のタイプと性能等の検討が必要です。グリースにおいても軸受温度が高いと含まれる基油粘度の低下が起こり潤滑性も低下します。基油粘度の適否を確認するには最小油膜厚さと軸受面粗さから求める油膜パラメーターΛ値が有効であり、この様な条件の軸受には高粘度基油を用いたグリースが推薦されます。
 
 グリースの変色は黒化の他に赤褐色化、白色化等があり変色とその原因の相関をに示しました。
 


▲図 グリースの劣化プロセスと変色
「出典」
  グリースQ&A 月刊トライボロジ1990.7 p66−67
 
 

 
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