ID-177冷凍機油の性能評価について |
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フロンによるオゾン層破壊の問題から、エアコンや冷蔵庫に使用される冷媒は、R134a等の代替フロンに替りつつあります(冷蔵庫はほぼ終了、エアコンが置き換わりつつある)。 この代替フロンは従来の鉱物油とは相溶性が悪く、新しい潤滑油の開発が必要となりましたが、カーエアコン、エアコン、冷蔵庫はそれぞれ要求特性が異なるため、各種の潤滑油が開発されています。【表−1】は、それらの製品に使用されている主な圧縮機の形式と冷媒、潤滑油について一覧表としたものです。 |
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【表−1】冷凍機製品とそれに使用される主な冷媒と潤滑油 |
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冷凍機油としての性能評価方法について述べる前に、冷蔵庫を例にして、全体の構成を見ておきたいと思います(【図−1】)。カーエアコンやエアコンにおいても、基本的な構成に変わりはありません。 | |||||||||||||||||||||||||||
冷凍機油は、圧縮機の潤滑を行ないますが一部は、冷媒とともにミスト状になって凝縮器に流れていきます。冷媒は、凝縮器で冷却され液化しますが、この時冷媒との相溶性が悪いと潤滑油が分離・滞留し、冷媒の流れを妨げます。 液化した冷媒は、膨張弁(キャピラリ) で膨張、蒸発器で外部より気化熱を吸収し再び気体となって圧縮機に戻っていきます。 |
![]() 【図−1】冷蔵庫の冷却 |
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このように、オイルにはまず、超低温から、かなりの高温まで絶えねばなりなせんし、冷媒との相溶性に優れていることが必要です。相溶性が悪いと、分離した油が滞留し冷媒の流れを妨げるだけでなく、冷却装置の構成効果を低下させたり、キャピラリで閉塞を起こすこともあります。 【表−2】は、上記の各部分でどのような性能が求められるのか、そしてそれはどのような試験で評価されるのかをまとめたものです。 |
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(注)冷媒は、上記構成部品の欄において、(5)の圧縮機から(4)凝縮機、(3)、(2)、(1)蒸発器へと流れ、再び(5)の圧縮機に戻ります。 |
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【表−2】冷凍機器の構成と潤滑油に要求される性能とその評価方法 |
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このほか、冷凍機油は一般性状、組成分析、加工や組立時に使用される潤滑油類とのコンタミ溶解性の試験が行われます。 また、オゾン層を破壊しにくい代替フロン冷媒も地球温暖化の原因であるとして、欧州等では、CO2やアンモニアを冷媒とした、あるいはイソブタン等の炭化水素系の自然冷媒の開発・製品化も進んでおり、日本でもイソブタン冷媒を用いた冷蔵庫やCO2冷媒による家庭用給湯機が上市されはじめました。環境対応の点から、冷媒とそれに対応する潤滑油はまだ変わっていくのではないかと思われます。 |