ID-224 全酸価の測定
 
 
1.全酸価とは
 
 試料1g中に含まれる全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム(mg)数を言います。
 
 
2.全酸価でわかること
 
 潤滑油の酸性を示す成分としては、有機酸、無機酸、エステル、フェノール化合物、ラクトン、レジン、重金属塩、酸化防止剤および清浄剤などがあります。
 潤滑油の劣化度合いの評価や、潤滑油への異物混入の確認 等が潤滑油の全酸価を測定することによりわかる場合があります。
 
 
3.測定方法は
 
 測定方法はその原理の違いから以下の方法がJISに規定されています。
 
表1 全酸価の測定種類
試験方法 特徴
指示薬滴定法
1.指示薬による色の変化によって判定するため、淡色油および比較的添加剤の少ない油に適している。
2.簡単な器具で、しかも短時間で測定できる。
電位差滴定法
1.新油および、使用油並びに淡色油及び濃色油の広範囲の油種に適用できる。
2.非水溶液の電位差測定のため、応答が遅く測定に時間を要する。
3.電位差計を用いるため自動化が容易である。
 
 また、指示薬滴定法(図1)には、用いる溶媒、指示薬等の違いにより数種類の測定方法があります。
 そのため、測定方法(原理)の違いにより、ある潤滑油の全酸価を2種類以上の測定方法(電位差滴定法も含む)で測定した場合、得られる値が一致するとは限りません。したがって、測定方法の選定に関しては、JIS等を参考にして測定対象物(潤滑油)に適した方法を選定する必要があります。
 なお、詳細な分析方法についてはJIS等に規定されていますのでそちらを参照してください。


図1 全酸価指示薬滴定法
 
 
[参考文献]
  JIS C 2101−1993 電気絶縁油試験方法
  JIS K 2276−1994 石油製品−航空燃料油試験方法
  JIS K 2501−1992 石油製品および潤滑油−中和価試験方法
  JIS K 2514−1996 潤滑油−酸化安定度試験方法
 
 

 
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