ID-284 塩素化パラフィンのプラスチックに対する影響

切削油剤、特に不水溶性切削油剤には、優れた加工性能を有する潤滑添加剤として、塩素化パラフィンが広範囲に使用されています。
また、塩素化パラフィンはプラスチックに変形しやすい性質(可塑性)を与えるために、プラスチック製造時に添加されている化合物でもあります。
塩素化パラフィンを含有した切削油剤が機械操作盤や周辺機器のプラスチック部品に付着した場合、膨潤や割れ等の問題を生じる場合があります。特に、表面歪みがかかっている部分において、このような問題を生じやすくなります。

プラスチックに対する影響を調査した結果の一例を下図に示します。
この試験は、プラスチックの試験片に表面歪を与え、そこに切削油剤を含浸したろ紙を置き、プラスチックに生じる割れやクラックの状態によりその影響を調べる試験です。
この結果から、塩素化パラフィンを含有した油剤の影響は、含有していないものに比べ大きいことが認められます。

このような問題を防止するためには、プラスチックに付着した切削油剤は速やかに取り除く、あるいは塩素化パラフィンを含有していない切削油剤(塩素フリー油剤)に切り替えるなどの対策を行う必要があります。

 
 

 
 
[参考文献]
  1)坂川:鍛造技報、53、(1993)49
  2)大倉、芦田:鍛造技報、53、(1993)57
 
 

 
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