ID-306 油圧装置の仕組みと特徴
 
 油圧による制御は重量の大きなものを早く正確に動かすことが出来ます。
 橋桁を移動させるクレーンの様な大きなものから、凸凹道で自動車の振動を止めるアクティブ制御のような素早く緻密なものまで幅広く活躍しています。
 船、飛行機など交通運搬関係はもとより、クレーン、ブルドーザなど各種作業車両などの様に大きなパワーを必要とするものの多くで油圧装置が働いています。
 
油圧装置の仕組み

 
図1 油圧装置の仕組み
 
 一般的な油圧装置は図1のような油圧機器が組み合わされて回路が出来ています。
 圧力を生み出す油圧ポンプは、電動機やエンジンなどで駆動されます。ポンプで生み出された作動油の流れを、圧力制御弁や方向切り替え弁で制御して、実際に仕事をするアクチュエータに送ります。
 アクチュエータは回転運動や揺動運動をする油圧モータ、直線ストローク運動をするシリンダー、そしてこれらのアレンジタイプなどがあって豊富です。
 
油圧装置の特徴
 
1.高い圧力を用いることで小さな装置で大きいパワーが扱えます。
2.大きな質量のものを動かすと大きな慣性力が働くので、制御が難しくなりますが、油の流れで力を伝える油圧では大きな慣性力が発生しないので早く正確な制御が出来ます。
一方で油を使うことに依る短所もあります。
漏れた油による火災や河川の汚染などの欠点もあります。
 物を動かす制御技術には油圧以外に電気や空気がありますが、それらが動かすアクチュエータについてその得失を次の表1に示します。
 
表1 アクチュエータの性能比較
比較項目  電 気 式 油 圧 式 空 気 圧 式
パワー密度 小〜中 小〜中
トルク/慣性比 中 0.01〜0.2kW/kg 大 0.1〜1.0 小 0.01〜0.06
応答速度 中〜20Hz 大〜100 大 〜10
制御性
負荷依存性
温度依存性
減速機構 必要 有り 必要 無し 必要 無し
付帯設備
スペース
使用環境
保守性
危険性
価 格
使用状況
出典 「アクチュエータ実用辞典」(フジテクノ)
 
 

 
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